「何よりもまづ獨創的であれ。」しばしば發せられるこの忠告は、凡庸な詩人たちのところでのみ役に立つ。凡庸でない詩人たちはそれを必要としないのだ。そして多くの凡庸な詩人たちがダダの亞流になつた。何よりも獨創的にならうとする努力、そこに今日の詩人たちの共通の弱點――奇矯にすぎること――があると言つてよい。ところでそれとは反對に、ラジィゲは我々に忠告するのだ、「平凡であるやうに努力せよ」と。平凡であらうとする努力、これくらゐラジィゲの作品を貴重にしたものはなかつたのである。ラジィゲの持つてゐる平凡、――この一點を中心にして僕は大きな感動をもつて一つの圓周を描かう。
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