こなひだ三幕の戲曲を書き上げて、それからもつと戲曲を書いてみたくなり、長兄の本棚からさまざまの戲曲集を持ち出して讀んでみたが、日本の大正時代の戲曲のばからしさには呆れた。よくもまあ、こんなものを、書く人も退屈せずに書いたもの哉、讀む人も退屈せずに讀んだもの哉、さうしてこんなものでもたいてい大劇場に於て當時の名優に依つて演ぜられたものらしいが、よくもまあ、名優たちもこんなつまらない臺詞を大眞面目で暗誦したもの哉、よくもまあ、觀客も辛抱して見てゐたもの哉、つくづく呆れ、不愉快にさへなつた。
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